ヴィンセント・バックのトランペットマウスピース「1B」、シルバープレート（銀メッキ仕上げ）です。 評判の良い旧刻印と言われている時代に製作されたもので、1970〜80年代くらいに作られたマウスピースです。ボディには「VINCENT BACH CORP. 1B」というハンドメイド感あふれる美しい書体の趣のある刻印がしっかりと深めに入っています。V.バックの特に古い時代の「1B」は、オーケストラプレイヤーに長年愛用されてきた型番です。 シカゴ交響楽団の首席奏者を半世紀以上務めた伝説的なトランペット奏者アドルフ・ハーセス氏は、1Bまたは1Bに近いスペックのマウスピースを使っていたと言われています。 元NHK交響楽団トランペット奏者で東京藝術大学教授の栃本浩規さんはも「1B」を長年愛用しているそうです。リムはややラウンド気味の形状で、リップのコントロールがしやすく跳躍を多く含むフレーズも演奏しやすいです。カップは同じV.バックのCカップに比べると少しカップ容量の多い「Bカップ」です。 深すぎて高音域が出しにくいほどではなく、豊かでヨーロピアンな音色が魅力的な素晴らしいカップデザインです。カップ内は敢えて旋盤の加工跡をヘアライン状に残してあって、カップの中で息の流れや響きが微妙に複雑な乱反射をすることで良い音色を生み出すという話も聞きます。 旋盤跡をやや濃い目に残してある個体で、ハンドメイド感が伝わってきます。V.バックのBカップのマウスピースには、バックボアに「No.7（シュミットスタイル）」というやや広めのバックボアが標準で採用されています。 20世紀初頭にヴィンセント・バック氏が古いドイツのマウスピースのバックボアを意識してデザインしたもので、現在でも非常に評価の高いバックボアです。 Cカップの標準バックボアの「No.10（スタンダード）」に比べると明らかに豊かな響きで、非常に好ましいと思います。豊かな音色ですが、息を取られすぎたり吹奏時の抵抗感が少なすぎるようなことのない、バランスの良いバックボアです。 高音域の演奏しやすさを損なわずに、サウンドがぼやけることなく、ドイツ風のリッチな音色が得られます。 さらにイントネーション（音程）の面でも優れていて、低音域から高音域まで音程のバランスに優れています。バックボアは外側からは見えにくい部分なので分かりづらいですが、音色や音程、息を入れた時の抵抗感に大きく影響を与える箇所です。 V.バックの古い時期のものは、製作された時期や職人さんによって良い意味でわずかに個体差があるので、1本1本がほんの少しずつ違って奥が深いです。サウンドは豊かで深みがあり、高音域が出しづらくなるほどカップが深すぎないので好ましいです。旧刻印のCORP. 1Bは現存数が少なくでも出回ることがほとんどないので、この時代のものということも含めてかなり貴重だと思います。トランペットをやっている人はCカップのマウスピースを使う方が多いですが、少し鼻が詰まったような浅い響きになりがちだと思います。 特にフォルティッシモで演奏したときに「ピャーー」と品格のない薄っぺらでドッチラケな音になって、共演者や聴いている人からヒンシュクを買われがちです。Bカップは高音域をほとんど犠牲にせずに良い音色が得られますので、クラシック、ジャズ、吹奏楽まで演奏するジャンルを問わず非常におすすめできるマウスピースです。 トランペットはCカップ、などという固定観念はかなぐり捨てて、もっとBカップのマウスピースが世に広まると、トランペットの「小うるさい」イメージも変わってくると思います。唇の自由度もあり幅広い音域に対応できて、跳躍を多く含むフレーズなども演奏しやすいです。 ベートーヴェンなどのトランペット奏者にとっては嫌がらせのような8度をさらに超える跳躍フレーズも、このマウスピースなら演奏できるという方もいらっしゃると思います。また中高生に多いアンブシュアが下の方にズレてきて、粘膜奏法と言われる上唇が引っ掛かるようにしてじゃないと演奏できないような方に、アンブシュアの矯正のために一時的に使うこともおすすめできます。 リムのサイズが大きいので、カップの中に上唇が強制的に入る形になり、しばらくその状態に慣れることで結果的により良いアンブシュアを獲得できる可能性があります。 その後に通常のサイズのマウスピースに戻すことで、格段にトランペットが吹きやすくなるきっかけにもなります。リムがフラット気味な「1C」「1X」、また「1」に今ひとつしっくりきてない方にも非常に良い選択になると思います。全体に非常に良い状態を保っています。ところどころ極わずかな小キズが見受けられますが、ほとんど気にならないと思います。銀メッキの状態も非常に良好で、美しく光り輝いています。 製作から半世紀近く経っていることをふまえると驚異的なコンディションです。リムからカップ、スロート、バックボアからシャンク先端まで、とても丁寧に製作されているのがわかります。 マウスピースの表面とカップ内からバックボア、シャンク先端まで、綺麗に洗浄して適度に磨いてありますので、汚れなどの心配のまったくない清潔な状態にしてあります。V.バックの状態の良い旧刻印のものはどんどん数が減ってきているようで、特に「1B」など型番によっては非常に現存数が少なく、この時代のマウスピースを探している人も多いと思います。 現在のV.バックのマウスピースと比べると、見た目やそのハンドメイド感がまったく違いますし、何より吹いてみればその音色、吹き易さ、その他すべてにおいてまったく別物と言っていいと思います。おてがる配送 ネコポスで、日本全国送料無料にてお送りします。 ネコポスはヤマト運輸による匿名配送で、配送状況の追跡が可能です 基本的にはポストに投函されるようですが、ポストに入らない場合は配達員の方からの手渡しになるので安心です。 上手く緩衝材を使いますので、厚み3cm以内での梱包でもまったく心配なくお送りできます。厳重に梱包の上、ご送付いたします。